加圧トレーニングのメリット・デメリット
加圧トレーニングというトレーニング方法があります。
専用の器具を使い、腕や太ももの付け根を圧迫することで、血流を制限した状態でトレーニングを行います。
血流を制限するといっても、完全に止めるわけではありません。
専門のトレーナーが、圧力を適切に調節することで、様々な効果を引き出します。
その加圧トレーニングのメリット・デメリットを見ていきましょう。
加圧トレーニングのメリット
●軽い重量で行うため、ケガの防止になる
これが加圧トレーニングの最大のメリットです。
血流を制限することで、筋肉にとって力を発揮しづらい過酷な状況を作り出します。
そのため、軽い重量でもかなり重く感じます。
そして、筋肉が痛くなります。
単純に扱う重量が比較的軽くて済むということです。
すごく軽くても効果があるという意味ではありませんが、必要以上な高重量による怪我のリスクは抑えられます。
●パンプアップしやすいので、効果を実感しやすい
器具による圧迫で血流が悪い状態なので、乳酸が代謝しにくくなります。
そのため、乳酸がたまって筋肉が腫れあがったような状態になります。これをパンプアップと言います。
筋肥大のためにトレーニングをし、パンプアップすることで肥大したような状態を作り出すので、あたかも筋肉がその場で成長したように感じられます。
実際には、本当の筋合成による肥大とは違いますが、この実感を得ることは、決して無駄ではありません。
ただ、正しいトレーニングフォームでスピードをコントロールし、反復をストリクトに行うことで、器具を使わなくても同じ事が起こります。
●血行が良くなる
トレーニング中に静脈を圧迫し、トレーニング後に開放することで、血流が促進されます。
トレーニングの際には、筋肉を収縮させますが、そうすることで血管も一緒になって伸び縮みします。
トレーニングをする事で、肩こりなどが改善されることは、珍しくありません。
これもまた、器具を使わなくても同じ効果が得られると言えます。
●成長ホルモンを大量分泌
成長ホルモンというのは、若返りホルモンとも呼ばれています。
また、脂肪を分解してダイエットを大きくサポートしてくれる役目も担っています。
この成長ホルモンの分泌には、先ほど書いた乳酸がとても重要になってきます。
つまり、しっかりと乳酸をためてパンプアップすることで、若返りホルモンが大量に分泌されるということです。
成長ホルモンに関しての詳しい記事は、こちら
成長ホルモンと筋トレ
加圧トレーニングのデメリット
●結局は、加圧しなくても効果はあまり変わらない
上述のメリットのほとんどは、加圧していない通常のトレーニングでも起こることです。
また、重さに関しても、比較的軽い重量で、重く感じるというだけで、それなりに重い重量が必要であることと、トレーニングの辛さは変わりません。
良いトレーニングは、ターゲットの筋肉に的確に負荷をかけ、収縮させることで筋疲労させていきます。
つまりは、加圧をしていても、同等のトレーニングテクニックは必要ですし、筋疲労した時の苦痛も同様なのです。
これは、乳酸や成長ホルモンにおいても同じことが言えます。
●エコノミークラス症候群を引き起こすリスクがある
エコノミークラス症候群とは、正式には深部静脈血栓症と言います。
深部静脈血栓症とは
足から心臓へと血液を戻す血管(静脈)に血の塊(血栓)ができて詰まってしまう病気です。
ふくらはぎや足の表面にある静脈に血の塊ができても大きな問題とはなりにくいのですが、下腹部や太もも、膝の中心を走る深部静脈に血の塊ができた場合、重症となってしまいます。血の塊が足の静脈から心臓や肺に向かって流され、肺の血管に詰まった場合、肺塞栓症を引き起こします。
参照:血管の病気を知ろう!予防にいかそう!血管の病気について 日本血管外科学会[JSVS]/深部静脈血栓症って?
これが、加圧トレーニングの最大のデメリットです!
まとめ
加圧トレーニングには、
比較的軽い重量でトレーニング効果を引き出せるという特徴のおかげで、
関節に優しくケガのリスクを抑えられるメリットがあります。
それと同時に、深部静脈血栓症を引き起こすリスクも兼ね備えています。
リスクとメリットを総合的に考えて、トレーニングに取り入れてください。
愛知県東海市出身
トレーナー歴は、1999年から。2002年に憧れだったプロレスラーになり、メキシコ修業を経て、みちのくプロレスや大阪プロレスにレギュラー参戦。
その後オーストラリアとイギリスを主戦場に海外遠征を繰り返したが、結婚を機にプロレスを引退。2足のわらじからトレーナーに専念し、今に至る。
トレーニング歴は、1996年から。
科学的理論と自身を実験台にした経験を武器に、進化し続ける事を信念とする。